最も重要な違いは録画範囲です。前後2カメラと360度カメラでは、カバーできる範囲と死角に大きな差があります。
前後2カメラの録画範囲
前後2カメラは、前方視野角120〜170度、後方視野角120〜140度が一般的です。前後の状況を高画質で記録でき、ナンバープレートの識別に優れています。しかし、側面の死角が大きく、横からの追突やドアパンチ、すり抜けバイクとの接触は記録できません。全体の録画範囲は約60%程度で、T字路での左右確認状況も記録されません。
360度カメラの録画範囲
360度カメラは水平360度、垂直240度の全方位を1台でカバーします。車内外のほぼすべての状況を記録でき、死角はほとんどありません。あおり運転の横付けや、交差点での巻き込み事故、車内トラブルまで記録可能です。ただし、魚眼レンズ特有の歪みがあり、画像の端では解像度が低下します。
実際の事故での有効性
損保会社の統計では、事故の65%は前後で発生しますが、35%は側面や斜めからの衝突です。前後カメラは主要な事故をカバーしますが、駐車場での接触事故や、歩行者・自転車との事故では360度カメラが有利です。特に過失割合が争点になる事故では、全方位の記録が決定的な証拠となります。